ロボット産業の進化とこれから

ロボット産業の進化とこれから

これまでの日本のロボットは、産業分野で成長してきました。元々自動車の溶接工程における労働安全性を図るために生まれた産業用ロボットはピッキングや組み立て、塗装などの多くのプロセスで採用されています。製造業では現在、ファクトリーオートメーション(工場での生産工程の自動化)の高度活用を検討する企業が増えつつあります。国もロボットの進化を重視すべき分野だと考え、政策の中で「2020年時点で製造分野に使われるロボットの市場規模を6,000億円から1.2兆円にまで伸ばす」と発表しています。

ブルーカラー業務で使われることの多かったロボットですが、現在はホワイトカラーの業務にも活用されるようになりました。それがRPA(ロボットによる業務自動化)です。パソコン上でのデータ入力や修正、各種投入作業といった繰り返し行う単純作業をロボットが代わりに行ってくれます。ヒューマンエラー防止やコスト削減などの導入メリットも多く、利用する企業が増えているようです。同時にRPAの導入サポートを行うNTTビジネスアソシエのような企業も続々と出てきています。新たなロボットの活用方法として、RPA市場がこれからますます活気づいていくことでしょう。

この他、サービス分野でもさまざまなロボットが開発・利用されています。人との協同作業を可能にした双腕ロボットは作業の幅を定型作業以外にも広げていますし、長崎県のハウステンボスで展開されているロボットの王国では今ある産業用ロボットのサービス分野における活用可能性、そして改善について実証実験も行われています。セキュリティの分野においても、セコムが自律運転・遠隔操作の可能なロボットを使って無人エリアの防犯を可能にしています。

情報通信分野の技術発展と合わさり、近年のロボットは「コミュニケーションロボット」という新たな形で発達してきています。ネットワークに接続したロボットを介してさまざまなソフトウェアやサービス、付加価値などを提供する仕組みとなっており、これまでのロボットとはまったく違った分野での活用や用途の広がりに期待が集まっています。「ロボットが人間の仕事を奪うかもしれない」と危惧されていますが、うまく共存することができればより働きやすく、生産効率の高い社会になっていくことでしょう。